男じゃつらいよ
日記と聴いたもの、見たものたちの備忘録
2016
06/19
Sun.
23:14:47
ルノワール展(国立新美術館)
Category【美術館めぐり】

人気の印象派だし、チケット売り場に行列ができるほど混んでいるんじゃないかと心配していたのですが、そんなことはありませんでした。もちろん、館内はかなり人が多かったですが。
ルノワールは印象派の代表的な画家の一人。風景画が多い印象派ですが、ルノワールは人物画(特に女性)を好んで描いた画家です。
「絵画は愛らしくて、喜びに満ちていて、綺麗でなくてはならない」というのはルノワアールの言葉ですが、この言葉の通り、彼の作品は明るい色彩で幸せな雰囲気が漂うものが多いです。
今回の一番の目玉は「ムーラン・ド・ラ・ギャレット(Bal du moulin de la Galette)」という作品。賑わうダンスホールを描いた彼の代表作のひとつです。

明るく楽しげな雰囲気。賑やかな声が聞こえてきそうです。かなり大きなキャンバスに描かれていましたが、ルノワールは最初小さなキャンバスを現場に持って行って描き、そのあとアトリエで大きなキャンバスに仕上げたそうです。

こちらはルノワールが第2回印象派展に出展した作品「陽光の中の裸婦」。木漏れ陽に照らされている部分と影になっている部分の肌の具合を繊細に描き分けた印象派の名作とされている作品ですが、当時は「腐敗した死体のようだ」とまで批判されたそうです。実物を見ると、思っていたよりも肌の部分に使われている青色や緑色の存在感があって、たしかに、それまでの絵画の常識からするとかなり衝撃的な描き方だったろうなぁと。
ルノワールはこの作品の様な「裸婦」を描いた作品が多いです。今回の展覧会で、僕の中のルノワールのイメージは「ぽっちゃり好きのスケベなおっさん」になりました。笑
ふくよかな女性を描いた作品が多いんですよ。
彼はフランソワ・ブーシェの「ディアナの水浴」を見て感銘を受けたらしく、生涯を通して裸婦を描き続けました。特に晩年はたくさんの裸婦画を描いています。

最晩年の作品「浴女たち」。デフォルメされた女性の体形が印象的な作品です。明るくて柔らかいそれまでの彼の作品とはまた違った趣。これがルノワールが生涯追い求めた「裸婦」の姿なのでしょうか。
晩年はリウマチで動かなくなった手に絵筆を括りつけて描いていたそうですが、そんなこと画面からは微塵も感じられませんでした。


個人的に一番好きだったのは、「ぶらんこ」(写真左)と、「田舎のダンス/都会のダンス」(右)でした。ぶらんこは初期の作品で、ルノワールらしさのある作品だと思いますが、「田舎/都会のダンス」は、輪郭線がはっきりしていて、光の加減も描いておらず、印象派的な描き方ではありません。ルノワールは1880年代半ばから線描で描くスタイルに一時傾倒するのですが、これもその頃の作品です。
今回の展覧会には、ザ・ルノワール!みたいな明るくてフワフワ幸せな雰囲気の作品は思っていたほどありませんでしたが、線描スタイルや晩年の作品はまた今までのルノワールのイメージとは違った側面があって面白いです。一人の画家にフォーカスした展覧会はその画家の作風の変遷が見て取れてとても興味深い。
ポチッとなー!

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